劇場版ポケモンの没プロットの映画化求む!

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PITMIL EDITOR
PITMILはアニメで世界をハッピーにします。

皆さんは没になってしまった幻の劇場版ポケットモンスター3作目をご存知でしょうか?
実際に上映された3作目は「結晶塔の帝王」でしたよね。
「結晶塔の帝王」とまるっきり異なる没プロットは、未だにファンの間で議論が続く超ディープな内容なんです。

あなたはこのシナリオ、ありですか? なしですか?

没プロットのストーリー

突如として発見されたティラノサウルスの化石。
人間でもポケモンでもない生き物の痕跡に、学会は大騒ぎになります。
ダーウィンの進化論が通用しない“ポケモン”。
発生の起源もあやふやなうえ、新種が増えるのに反比例して、ポケモン以外の動物のことを人々は忘れていっている……。

この世界、なんだかおかしくないか?

人々が違和感を覚える中、ある日ティラノサウルスの化石が動き出します。
すべてをなぎ倒し、踏みつぶしながら、ある場所へ向かって進撃を始めるのでした。

オーキド博士はただただ破壊されてゆく世界を見ながらつぶやきます。
いつかこんな時が来ると思っていた。なぜ、こうなるのか分からんけれど……

サトシもピカチュウも、ロケット団も。
人もポケモンも、本能的に悟ります。
ティラノサウルスを止めなければ、この世界『ポケモンのいる世界』が滅びてしまう――。
そして、みな一丸となって立ち向かってゆくのでした。

やがてティラノサウルスはある場所へたどり着きます。
ティラノサウルスが進撃をやめた場所、そこは……。

サトシとピカチュウは。
人とポケモンは、この世界を守ることができるのでしょうか。
そして、この世界に隠された秘密とは――。

没プロットの生まれた背景

生みの親

この没プロットは、故首藤剛志氏によって作成されました。
彼は、劇場版ポケモンのレジェンドとも言える作品「ミュウツーの逆襲」、それに続く「ルギア爆誕」を生み出した脚本家。
ポケモンのシリーズ構成を担当していました。

生まれたタイミング

このプロットが作られたのは、ゲームの金銀が発売される前。
つまり、ポケモンは151匹しかいませんでした。
さらに、劇場版第3弾の制作が決まった当初は、「ルギア」のように新しいポケモンは登場させないよう指示が出ていたのです。

また、ポケモンのアニメもここまで長期化するとは思われていませんでした。
1990年代は多くのアニメが描かれましたが、大人の都合で打ち切られるものも少なくありませんでした。
まだテレビ番組としてアニメの地位が低かった時代です。
首藤氏は「人気が出て続いても数年」「もしそれより長くなるなら、『ポケモン2』として仕切り直す」という見通しでシリーズを構成したそうです。

没になった理由

このプロットは当時のプロデューサーによって却下されました。
「無機質なものに、意識が宿り動き出すというストーリーはヒットしない」
というのが理由です。

プロットをプレゼンした首藤氏は、作品内容やテーマに関する反論を予想していたようです。
しかし、ヒットするかどうかは念頭になく、反論の余地がなかったとのこと。

当然映画は興行収入を出すために作るものですから、できるだけヒットしやすいものを作る必要があるのも分かります。
ただ、このプロデューサーの方も「ミュウツーの逆襲」はヒットすると思っていなかったそうですから、難しいですね。

没プロットはアリ? ナシ?

ポケモン×ディストピア!!

さて、そんなこんなで立ち消えてしまったこの没プロットですが、筆者はむしろ今ならツボにハマる人も多いのではないかと思っています。
世界そのものを疑うディストピアもの、それをポケモンでやってくれたらギャップがえぐい!

特に、ゲームの赤緑をプレイしていた人は、ポケモン図鑑に動物の記載があったのを知っています。
あのときの違和感を、伏線として回収してくれるかもしれないこの没プロット。
今、大人のための「もうひとつのポケモン」として描き直してみてほしいなあと思います。

ちなみに……

この没プロットの重要なシーン、ティラノサウルスが進行を止めたある地点については今も明かされていません。
プロット自体は没になってしまいましたし、首藤氏は残念ながら病気で他界しています。
生前に首藤氏は「『動物とはなにか?』『人間とは何か?』、その違いと共通点を考えればさほど難しくない」と語ったそう。
現在まで議論の続いているこの謎、あなたはどう思いますか?